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界面活性剤とは?
界面活性剤とは、わかりやすく一言でいうと、
「水と油という混ざりあわないものをくっつける働きの成分」です。
ひとつの分子の中に、水になじみやすい親和性がある部分(親水基)と、油になじみやすい親和性がある部分(親油基)の両方を持つ成分を界面活性剤といいます。
この特性により、油汚れを水で洗い流すことも可能になるため、洗浄成分として石けん、クレンジングフォーム、シャンプーにも利用されています。
また、水と油が容易に混ざりあうようになる特性を利用して、クリームや乳液、白濁系の製品が作られています。これらの乳化製品に活用する界面活性剤を、乳化成分と呼びます。
界面活性剤の特徴
[界面活性剤が汚れを落とす]
①界面活性剤入りの水が汚れに接触します。
②界面活性剤の親油基(油になじみやすい部分)が汚れに取りつき、汚れがはがれやすくなります。
③親油基が取りついた汚れの部分の外側は、親水基(水になじみやすい部分)でおおわれます。親水基は水にひかれて汚れを包んだまま完全にはがれることが出来るのです。
「界面活性剤の特性により起こる乳化]
まず、乳化とはどのような状態のことをいうのか。
それは、油と水が細かい粒子になって分散している状態のことをいいます。
ただ、水と油が完全に溶け合っているわけではありません。
界面活性剤の働きによって出来る乳化は2種類あります。
O/W型(Oil in Water)
水の中に油が分散した状態をいいます。乳液やクリームがこのタイプです。
W/O型(Water in Oil)
油の中に水が分散した状態をいいます。ウォータープルーフの日焼け止めなどがこのタイプです。
このように界面活性剤を調整することで、形状や使用感の違うものを作ることが出来るのです。
界面活性剤の分類
[アニオン界面活性剤]
- 水に溶けると-イオンになる。
- 油とも混ざるが水に非常に良く溶ける。
- 成分→「~石けん」「~塩」「~硫酸ナトリウム」と名前の最後につくもの。
- 石けん、シャンプー、洗顔料など洗浄剤に使われる。
- 皮膚刺激は比較的弱い
[カチオン界面活性剤]
- 水に溶けると+イオンになる。
- 静電気(マイナスの電気)と結合して静電気を防止する。殺菌作用を持つものが多い。
- 成分→「~クロリド」「~アンモニウム」と名前の最後につくもの。
- トリートメント、コンディショナー、リンス、制汗剤などの、帯電防止剤、殺菌剤などに使われる。
- 皮膚刺激はやや強い。
[両性界面活性剤]
- 水に溶けると、pHによって-イオンになったり、+イオンになったりする。
- pHによって異なる特徴が発揮される。
- 成分→「~ベタイン」と名前の最後につくもの。
- ベビー用品、高級シャンプー・リンス、柔軟剤など、洗浄助剤や殺菌剤、乳化助剤に使われる。
- 皮膚刺激は弱い。
[非イオン界面活性剤]
- 水に溶けたときにイオン化しない。
- 水と油を長時間混ざった状態にしておくことが出来る。
- 成分→「~グリセリル」「~水添ヒマシ油」と名前の最後につくもの。
- 多くの化粧品の乳化剤に使われる。
- 皮膚刺激はとても弱い。
界面活性剤は肌に悪いの?
メイクなどの油性の汚れを落とすためには界面活性剤は必要な作用とも言えます。
ただ、洗浄剤になる界面活性剤は、汚れを落とす力も強く、ときとして肌のバリア機能を壊してしまうことも。
敏感肌の方は、クレンジングや洗顔料の配合成分には気を付けたほうが良いかもしれません。
一方、クリームや乳液に配合されている界面活性剤は、脱脂力が弱く、洗浄力がないので、ほとんどバリアを壊しません。
働きも安定しているので、製品の安定にも必要なものといえます。
ですから、乳液やクリームに入っている界面活性剤はあまり気にしなくても良いといえるでしょう。
このことからも、一概に界面活性剤がお肌に「悪い」とは言い切れないのです。
まとめ
何となく「汚れを落とすもの」というイメージが強かったかと思いますが、実はいろいろな働きがあることがわかりましたね。