高橋裕子のコラム BORN TO LOVE #2

スピリチュアル

『映画『君の名は』は、ただのファンタジーでも
不思議な恋物語でもなく、奥の深いSF作品だった!!』

私は昔から、世間で大人気を博しているもの、みんなが持てはやすものからは一歩引いて「フン、簡単には引っかからないわよ」と横目で受け流すところがある。スキーやテニスの全盛期もしかり、マイケル・ジャクソンやマドンナの凄さを認めたのもだいぶ経ってからだった(苦笑)

2016年に公開された、大ヒット映画『君の名は』についてもそう。アニメ作品はむしろ積極的に見るほうだけれど、身体と心が入れ替わる話はあまり好みでないせいもあり、最近テレビの地上波で放映されてやっと視聴した。でも結果は「ごめんなさい! 私があまのじゃくでした」と謝りたい。それほど面白く興味深かった。

 

『君の名は』はなぜ大ヒットしたのか?

だいたい普通の入れ替わりは親しい相手か、少なくとも同じ環境の中で接点のあるAさんがBさんに、BさんがAさんになってしまうドタバタだが、これはまったく見ず知らずの、遠く離れた者同士。あまりにも異常なことが突然に起き続けるので、映画『マトリックス』を初めて見た時を思い出した。冒頭からあれよあれよという目まぐるしい展開で、ついていくのがやっと、というあの感覚だ。

それからだんだんに状況が飲み込めてきて、なのにまた新たな展開に驚かされ、混乱したあげく最後はボロボロに泣かされて終わるのだ。この原稿を書くために再度、本腰を入れて視聴したところ2回めはずっと落ち着いた。細部まで注意して見られて理解も深まり、登場人物たちがやたらに愛おしい。3回めはもっと良くなりそうな予感とともに、わかってきた。

なぜ、あんなにも多くの観客の胸を打ち、記録的な大ヒットになったのか。

注:未見の方には、やはり主人公とともに混乱を味わってほしいので、ここではネタバレはできるだけ避けようと思います。

二転三転する巧みなプロットに、精緻な映像美、日本の伝統文化の雅(みやび)で神秘的な描写と現代社会の対比、さらに運命の赤い糸というロマンチックな要素が加わる。でも、それだけならファンタジックな純愛物語にすぎない。

重要なのは、入れ替わったふたりの性別や環境が違うだけでなく、時間まで超越していたことだ。 ある出来事のゆくえが変わるために、このふたりが運命に選ばれたと言っていい。個人の意思をはるかに超えたレベルで、大いなる力が作用した。奇跡が起きる仕組みとは、きっとこういうものなのだ。そう感じさせるからこそ、人々の心をつかんだのではないか。

そう、ヒロインの祖母が糸紡ぎと組み紐によって伝えたこと、「より集まって形を作り、ねじれて絡まって、時には戻って途切れ、また繋がり」という〝時の流れ〟の本質、結ばれる縁(えにし)と奇跡について、じつは私たち観客も一緒に〝伝授〟されたのだ。

現実は過去からも未来からも変えられる

ちょうど私自身も、時間が直線的に流れるように見えるのは幻想だ、という文章をミスティカルシャーマン・オラクルカードで翻訳したばかりだった。物理学者も言っているように、時間は回転したり、波やフラクタル(自己相似)のパターンを描いたりする。『時間の主人』のカードは「自分のパワーを取り戻せ」という呼びかけだった。覚悟を決めて、時間の巨大な歯車がギギギ…と音を立てて回る瞬間に立ち会えば、過去に影響を与え、そこから始まる現在も未来も同時に変えることができる。

ミスティカルシャーマンオラクルカード
(発売:株式会社JMA・アソシエイツ)

自分が今、認識している現実と、よく似ているけれどほんの少し違うバージョンの現実が、常に5〜7本は並行して伸びているという。いわゆるパラレルユニバースだが、大小さまざまな選択肢をどう選ぶかで、私たちはあみだくじのように隣の現実に飛んだり、また戻ったりしながら生きている。

この映画では、まず遠い過去から、子孫が災厄を免れるための潜在意識的な働きかけを続けてきた祖先たちの積み重ねがあり、その頂点に選ばれた主人公ふたりがこんどは未来から、とまどいつつも意思的に動きはじめて過去を変えていく。まさにパラレルユニバースを大きく飛び越える瞬間と、その前後を私たちは目撃するのだ。

 

〈現実は、変えられる。過去からも、未来からも、変えることができる。〉

〈奇跡は、ただの夢物語や絵空事ではなくて、今ここに、すぐそこに、もう起きているのかもしれない。〉

このメッセージを私たち全員の潜在意識に刷り込むため(いや思い出させるため?)に、宇宙の大いなる意志が働いて、本映画の製作者たちにインスピレーションを与えたのではないか、とさえ思う。

『未知との遭遇』を覚えている方はどのくらいおられるだろうか。あの映画の中では、いろいろな地域の人々が同時期に同じイメージを夢で受け取り、絵に描き、やむにやまれぬ引力に導かれるように集まって不思議な体験を共有した。『君の名は』は今この時期の人類にとって、というのが大げさなら、少なくとも日本社会にとってそれに近いインパクトを残したような気がする。

ともあれ、過去・現在・未来とは何か? 時間とは? 歴史とは? 記憶とは?  奇跡とは? そんな壮大なテーマを提示して、畏怖と感謝と喜びの涙を誘い、希望を与えてくれる。奥の深いロマンチックなSF作品なのだった。まだの方は是非、すでにご覧になった方も新しい目でもう一度。

高橋裕子

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横浜生まれ。射手座。A型。長年にわたり精神世界の書籍翻訳と、自己成長や癒しに関するセミナー・ワークショップ通訳で知識・洞察・経験を培う。そのかたわらエッセイ...

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