伝説の狸が祀られた神社が破壊される

総勢1200匹もの狸が争った土地
日本人は古来から、動物に霊性を感じてきました。そのために、全国各地の神社には神様のお使いといわれる動物が存在しています。最も有名なのは稲荷神社の神使である「狐」でしょう。あまりにも狐のイメージが強いために、御祭神である宇迦之御魂神までも狐だと思っている人がいるほどです。
そんな狐と対極にある存在としてよく登場するのが「狸」。狐と同じように高い霊力を持ち、人間に化けたり、さまざまな不思議を引き起こすといわれてきました。そんな狸たちの本拠地と言われていたのが「四国」。
江戸時代に、四国の徳島県を舞台にした狸同士の大戦争が起きたという伝説が残っており、こちらは「阿波狸合戦」と呼ばれ、舞台や講談、さらには映画の題材にもされました。
合戦というだけあって、伝説では総勢1200匹もの狸が戦ったとされ、その中には狸の番付表で横綱クラスに選ばれるほどの、狸たちも参加したといわれています。ちなみに、この合戦の原因は、人間への義理立てをした狸と、その狸の実力を惜しみ、人間に肩入れするのを許さなかった狸との確執ということで、非常に人間くさいものとなっています。
最終的には、人間に義理立てをした金長狸が勝利するものの、その時の傷が元で命を落としてしまいます。この戦いの直前に、金長狸は修行によって、正一位の位を得る寸前だったということもあり、死後、義理立てをされた人間が、当時神道を司っていた吉田家に直訴して、正一位を貰ってきたのだそうです。
正一位を授与され神となった狸

多くの神社の中でも、伏見稲荷大社は勧請したご神体でも、すべて正一位を許すという勅許を後鳥羽天皇から受けたために、全国各地にある稲荷社がすべて正一位を名乗ることになりました。これによって、本来は貴重だった「正一位」という位が氾濫することになったのです。前述したように狸と狐は対極のものとして語られることが多かったことを考えると、金長狸の正一位も狐を意識してのものだったのかもしれません。
そんな金長狸が祀られた神社が、物語の舞台となった徳島県に存在しています。その名もズバリ「金長神社」。もちろん御祭神は「金長大明神」となっています。御利益は商売繁盛、開運として長年多くの人から信仰を集めてきたのですが、現在存亡の危機を迎えているのです。
多くの人から信仰を集めている金長神社が取り壊される

金長神社
(出典:Wikipedia)
金長神社はジブリ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』でモデルとなったり、近年では狸の家族が主役である『有頂天家族2』などにも登場するなど、狸の聖地として多くの人に知られてきた場所。歴史自体は60年程度と浅いものの、徳島の象徴ともいえる狸たちの総本家とされている神社を軽々に取り壊すというのは、暴挙といっても差し支えないでしょう。
そんな計画に反対するために、現在ではWEB上で署名を集めるなどの活動が行われています。現時点で3000名以上の人が反対の声をあげていますが、小松島市にアピールするためにはもっと多くの人数が必要となると思いますので、神社を軽々に潰すような事業が今後も興らないためにも、神社や文化を大切に感じる方は下記から署名をしていただければ幸いです。
高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」、「有頂天家族2」で描かれた金長神社を未来に残すことを求めます!
【訂正とお詫び】
以前、金長神社の所在地を徳島市としておりましたが、正しくは「小松島市」となります。
謹んで訂正させていただきます。
こちらコメントにてミスを教えていただきました。誠にありがとうございます。
失礼します。金長神社の記事を書いていただきありがとうございます。文中の文面に
徳島市にアピールするためには
とありますが金長神社があるのは徳島市ではなく小松島市になります。
お手数ですが訂正いただけると幸いですm(_ _)m
たぬえ様
このたびは、ご指摘誠にありがとうございます。
こちらのミスでした。さっそく訂正させていただきました。
今後とも、COCORiLAをどうぞ、よろしくお願いいたします。