女人禁制と穢れについて

スピリチュアル

大相撲舞鶴場所で起こった出来事とは?

4月4日に京都府舞鶴市で開催された大相撲舞鶴場所において、土俵上で舞鶴市長が挨拶中に倒れ、救命処置をするために女性が土俵に上がったことが話題となっています。このように表現すると、特に問題はないように思えますし、実際、適切な救命処置により舞鶴市長は助かっています。

問題となっているのは、女性が救命処置を行っているときに「女性の方は土俵から下りてください」というアナウンスが何度か流れたということ。土俵は神聖な場所であることから、女人禁制であるというしきたりを救命処置にまで持ち込んだというわけです。

この行為は、人命よりもしきたりを重視したとして大きな非難を浴び、5日には日本相撲協会の理事長が不適切な対応だったと、お詫びをすることになりました。しかしながら、女性が去った後に土俵に大量に塩がまかれたことも明らかになり、まだ火種は尽きていません。

相撲は神事としての側面があることから、土俵の女人禁制にこだわってきました。かつては、中学相撲を勝ち抜いた女の子がその業績にもかかわらず国技館の土俵に上がれなかったほどです。しかしながら、このようなしきたりは実はごく最近になって定められたということをご存じでしょうか?

土俵の女人禁制は近年生まれた伝統だった

北海道教育大学の社会学研究室が今から10年前に発表した「相撲における『女人禁制の伝統」について」という論文があります。こちらによると、そもそも「相撲」という文字がはじめて登場するのは、『日本書紀』の采女(うねめ)による女相撲だというのです。

相撲の起源として、野見宿禰と当麻蹶速の戦いがあげられますが、あちらは厳密には「角力」であり、相撲の祖先かもしれませんが、蹴りなどもあり格闘技色が強いものなので、そういった意味では現在の相撲に近いものは、こちらの女相撲といえるでしょう。

つまり、『日本書紀』の時代には女性が相撲を取るというのは当然だったわけであり、歴史は長く続きます。江戸時代には女相撲も立派な興業として成り立っていた様子が絵として残っています。こちらを見ると、現在とほぼ変わらない土俵で行っていることから、神事としての色合いも存在しているのです。

このような女相撲は明治時代まで続き、写真も残っていますが、女性が上半身裸で相撲を取るというのは、見世物としての色合いが強いことや猥褻さを感じさせるとして禁止されていき、現在のように男性だけが行うようになったのです。それと同時に相撲を格式高く見せるために女人禁制の伝統が「新しく」付け足されたのです。

宗教では様々な女人禁制の伝統が確かに存在しています。神道でも仏教でもあるわけですが、そのルーツを辿ると、女性がエネルギー的に穢れているというよりも、女性の生理的な問題だったことがわかってきています。

 

女性の穢れには合理的な意味合いが存在していた

女人禁制の山などは有名ですが、これも女性はすべて駄目というよりも、本来は「血の穢れがある期間=生理中」や、赤ちゃんを宿している期間だけが禁止されていたのです。生理中は血の臭いで野生動物を引き寄せる可能性がありますし、妊娠中に山登りをすると母子ともに危険なのは自明の理です。

穢れというとスピリチュアルなイメージが強いのですが、実際はかなり現実的なものが多く、これまで、お酒を造る職人である杜氏も女人禁制だったのですが、それは女性はぬか漬けを日常的に作ることが多かった時代に、お酒に別の菌が混じらないための措置だったといわれています。

そもそも、天照大神を天岩戸から連れ出したきっかけとなる天宇受売命を初めとして、巫女というのは、かつては男性よりも高い霊性を持つと考えられたわけですので、それらがすべて穢れとされたのは、比較的。男尊女卑の傾向が強い仏教や儒教の影響や、キリスト教的西洋的な男尊女卑が輸入された明治時代以降の国策によって、女性ならば避けられない生理的な変化が生じる一定期間だけ神域に近づかないと合理的な禁則事項が、拡大解釈された結果といえるでしょう。

今回の相撲のように、古くからの伝統と思われているものが、実は明治時代頃に創造されたものだった、というケースは結構存在しています。明治時代といえば、100年以上前ですので、ある意味それだけ古ければOKなのかもしれませんが、「伝統」という言葉に騙されないようにしたいものです。

幸いなことに、今回は救命処置が間に合いましたが、しきたりを重視した結果、救命処置が間に合わなかったとしてら、最も大きな穢れである「死」が土俵に染みつくことになったわけですので、何を優先するのかを偽りの伝統ではなく、人道的な観点と、霊的な観点からしっかりと見つめ、本当に大切なものを選び取れるように日頃から知識はもちろん、本質を見つめる目を養っておくことが必要なのでしょう。

最後になりますが、今回紹介した論文は、相撲だけでなく穢れや神道や仏教と相撲の関係、神事としての相撲といったスピリチュアルな部分もかなり紹介されています。読み応えがあるだけでなく、かなり興味深い内容となっていますので、本物の伝統に関する知識を得るためにも、お時間のある方はじっくりと読んでみることをオススメします。

COCORiLA編集部

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